近年人気が集まっている中小企業ですが、実際はどのような企業なのでしょうか。今回は、中小企業が多く活躍するIT業界に注目して見ていきたいと思います。よく耳にするベンチャー企業についても触れていきます。
IT中小企業の定義
中小企業の定義は業界によって異なります。(詳しく知りたい方はこちら)
IT業界(ソフトウェア業界・情報処理サービス業界)では、資本金3億円以下または従業員300人以下の企業を中小企業としています。
ベンチャーとは?
近年、就活生に人気のベンチャー企業。よく耳にする言葉ですが、そもそもベンチャー企業とはどういったものなのでしょうか。
一般的には「新技術や高度な知識を軸に、大企業では実施しにくい創造的で独創的なビジネスを展開する企業」を指します。
時代のニーズを背景に独自の製品や技術で急成長していく企業、従来にはなかった新しいビジネスモデルを中核とする新事業を行っている企業などは、これに当たります。
ベンチャー企業は、事業・組織共に中小規模であることから、すべての中小企業がベンチャー企業であると思われがちです。しかし、ベンチャー企業と非ベンチャー企業を分ける最大の要素は、「成長志向・急成長志向の有無」にあると言われています。
特にIT業界にはベンチャー企業が多く、マイクロソフトやインテルなどの世界的な大企業も、始まりはベンチャー企業です。
IT業界の企業数・従業員数
参考 「平成28年経済センサスー活動調査」
現在の日本におけるIT企業は43,006社で、そのうち中小企業は42,454社となっています。IT企業のうち、98.7%が中小企業ということになります。この割合を見てわかる通り、IT中小企業はシステム化が進む日本に欠かせない存在であることが分かります。
また、IT業界の従業者数は1,575,414人、そのうちの61.5%である969,660人がIT中小企業に雇用されています。
IT中小企業で働くメリット
1.ものすごいスピードで成長できる
IT中小企業に身を置くと、急成長できるというメリットがあります。新卒や若手であっても中心的な業務を経験できることが多く、実際の業務に携わりながら覚えていくスタイルがほとんどです。
また、分業化されているケースが多い大手企業に比べ、中小企業では一人に任される裁量権が大きくなり、幅広い業務に携わることができます。
そうすることで、ITに関する知識やシステム開発の流れを自然に理解することができるだけでなく、スキルアップに繋がり、何事にも臨機応変に対応できる力が身につきます。自分が会社を成長させているという実感を得ることもできるでしょう。幅広い業務の中で、自身の武器となる経験・スキルを磨くことができる環境です。
2.学歴や年齢・性別に関係なく評価される
IT中小企業の魅力として、学歴や年齢、性別にとらわれず、自分の頑張り次第で評価されるという点が挙げられます。大手企業に比べて社員数が少ないIT中小企業では、一人の成果が業績に直結することが多く、実力主義的なところがあるためです。
プログラマ(以下、PG)やシステムエンジニア(以下、SE)などのIT技術者は、特に技術で評価されます。やる気があれば新しい仕事を任せられ、どんどんスキルや経験を積んでいくことができるでしょう。
最近では、文系学生を採用するIT中小企業も増えていることから研修制度も整ってきました。もはや文理すらも関係ない時代になりつつあります。
3.経営者との距離が近い
これはIT業界に限ったことではありませんが、IT中小企業の大きなメリットと言えるでしょう。
「会社は小さければ小さいほど楽しい」という考えの人も多いです。経営者との距離が近く、直接指示・指導をしてもらえるという環境は大変な魅力です。また、より組織の根幹に近い仕事をすることができ、収益の軸となるビジネスモデルの理解も深めることができます。
大手企業に勤めている同年代とは圧倒的に仕事の質が違うので、どこでも通用する人間に成長することができるでしょう。
4.他にもいろいろ!
上記の主なメリットの他に、「自分の環境を会社で作りやすい」、「出世が早い」、「会社内の自分の存在価値が大きい」、「個人的事情を会社が考慮してくれる」、「人間関係が良好な場合が多い」など、多くのメリットがあります。
中でも、メンタル的な部分のメリットが多いように感じます。ストレスが少なく、のびのびとした環境で仕事ができるというのは魅力的です。
IT中小企業で働くデメリット
1.福利厚生が不十分
最近は、一風変わったものや充実した福利厚生で注目を集めるIT中小企業も増えてきました。しかし、大企業と比べるとまだまだ不十分です。福利厚生がほとんどないIT中小企業も珍しくありません。
特に注意したいのが、病気や怪我で長期間休まなければならなくなった場合です。大手企業であれば、独自の福利厚生により休養中でも生活に困ることがない場合が多いです。しかし、中小規模の企業では公的な社会保障制度しか頼りにできないことが多々あります…。企業選びの際は、その点もチェックしておくと良いかもしれません。
2.人手に余裕がない
IT中小企業にはバックアップ要因がほとんどおらず、人員に余裕がない場合が多いため、忙しい時期は休暇を取得しづらい傾向にあります。
大手企業は人員にゆとりがあるほか、組織的にバックアップするシステムが整っていることが多く、休暇をとっても業務がストップするということはありません。しかし、人間関係的に取ることが難しい場合もあるようです。
その点、人間関係が良好の場合が多いIT中小企業では、余裕のある時期にまとめて休暇を取得する人が多い印象です。
3.大手に比べると低収入
IT業界、特にPGやSEなどのIT技術者は、他の業界・職種に比べて全体的に高収入である場合が多いです。しかし、企業規模によって差が生じることがあり、中小企業は大手企業に比べると平均給与が下がる傾向にあります。
IT中小企業の主な仕事内容と魅力
ここで紹介するIT中小企業は、主に情報処理サービス(SI)業界の二次請け・三次請けと呼ばれる企業です。(他にもWeb系やAIなど、IT中小企業の事業は様々です!)
大手ベンダーやSIerと呼ばれる一次請け企業(大手企業)から仕事を受注して、システム開発や運営業務を行います。
働き方としては、①自社開発②受託開発③客先常駐といったものがあり、大半は③客先常駐です。これは他の業界には見られない、IT業界独自の働き方と言えるでしょう。
▼業界について詳しく知りたい方はこちら▼
情報処理サービス(SI)業界
IT業界の4分野
では、IT中小企業の仕事の魅力とはどういったところにあるのでしょうか。
多様な開発案件に携われる
IT中小企業に身を置くIT技術者たちは、一つのシステム開発プロジェクトごとに客先常駐という形で業務を行います。そのシステムが完成したら、次の現場へ配属されます。
社内に腰を据えて開発するというのも一つのシステムに長く携わることができて魅力的ですが、様々な環境で仕事ができるという点は、IT中小企業ならではの魅力です。あらゆる業務・現場を経験することで、多くの経験やスキルを得ることに繋がります。
ちなみに、このような働き方をするIT技術者は派遣社員と思われがちですが、ほとんどがれっきとした正社員です。派遣元である二次請け・三次請け企業に属しており、そこから配属されているだけなので、安定した収入を得ることができます。
大規模なシステム開発に関わることができる
大手SIerやベンダーの下請けということもあり、大規模なシステム開発に関わる機会が多くなります。大手銀行のシステムや運送会社のシステムなど、日ごろ皆さんが利用する身近なシステムの開発に関わると、大きなやりがいや達成感を感じることができるでしょう。
また、自社開発では比較的小規模なシステム開発が多くなり、経験が偏る場合があります。しかし、大規模な開発経験をいくつも積むと、それだけで様々な現場から重宝されます。
業務知識が身につく
例えば、金融システムの開発プロジェクトにPGとして配属されたとします。すると、現場ではプログラミングのスキルだけではなく、ATMシステムやクレジットカードシステムなどの金融系の業務知識を習得することになります。つまり、あなたはただプログラムが組めるだけではなく、プログラミングスキル+業務知識を身に付けることができるのです。
プログラミング経験が不十分なSEが仕様書を書くと、仕様書の精度が低くなりがちで、プロジェクトに手戻りが発生することもあります。また、その業界の知識が乏しいと、実際の業務で扱いづらいシステムを開発してしまうことも少なくありません。
また、PGは将来的にSEやプロジェクトリーダー(以下、PL)、プロジェクトマネージャー(以下、PM)にキャリアアップしていく場合が多いです。現場経験が豊富なSE・PL・PMは、現場でも大変重宝されるでしょう。このように業務知識を蓄積すれば、将来的に必ずあなたの武器になります。
システム開発をする際の設計書のようなもの。
様々な業界・業種の人と仕事ができる
IT業界は、全ての業界に介入することができる万能な業界です。中でも、IT中小企業は多様な開発案件に携わります。よって、他社のPGやSler、銀行のシステムであれば行員の方など、通常関わる機会の無い人たちと共に仕事ができます。
様々な人とチームを組んで、モノづくりをする。人脈を拡げて更なるキャリアアップが臨める点も、魅力の一つです。
あえてIT中小企業を選択する人が増えている
IT中小企業を選択する人が増えている理由には、世の中の流れが影響しています。大手企業が安泰という時代は疾うに過ぎ、興味のある仕事に挑戦する人や転職する人が増え、それが当たり前の時代になってきました。企業規模に捉われて就活をする人が少なくなったということです。
では、そんな時代には何が大切か、それは「どこでも通用する人材になっておくこと」です。前述したメリットや仕事の魅力でもあるように、幅広い業務でスキルを磨き、経験値を蓄え、経営者の近くでビジネスモデル全体を理解することは強みになります。
IT中小企業に身を置くということは、社会人としての戦闘能力を高くでき、時代を生き抜く個人のチカラを身につけることができるということです。
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