#8 AIのユニバーサルサービス化

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AIでシステム構築する時代

ここ最近、19歳から21歳の学生たちと話す機会が多くあります。

彼らはすでに、 ChatGPT  Claude  Gemini  GitHub Copilot など、さまざまなAIツールを自在に使いこなし、コードをほとんど知らなくても、システム構築を当たり前のように行っています。

実際、システム開発の現場にいる社会人でさえ、「サーフィンの合間にAIにシステムを作らせている」と語る様子がネット上で散見されます。

今や、誰もがAIにシステムを構築させる時代が到来し、AIはコモディティ化を超えて、レッド・オーシャン(競争の激しい市場)に突入しつつあるようにさえ感じられます。

では、次に私たちが目指すべき方向とは何か。

私は「 AIのユニバーサルサービス化 」こそがその答えではないかと考えています。

もちろん、法整備、インフラ構築、倫理的ガイドラインの策定など、課題は山積しています。
しかし、これが実現すれば、私たちが子どもの頃に夢見たような“未来の社会”が、いよいよ現実味を帯びてくるのではないでしょうか。

実現のためには、各国の政府、研究機関、企業が連携し、グローバルな取り組みとして推進しなければなりません。
簡単な話ではありませんが、考えるだけで胸が躍るのです。

ユニバーサルサービスとは?

ユニバーサルサービス(universal service)とは、

全国どこでも誰に対しても一律にほぼ同じ価格や条件、品質、品目で利用できるサービスのこと。
生活に不可欠なサービスとして、国民全般に公平かつ安定的に提供されるべきサービスを指す。

引用元:IT用語辞典 e-Words

あの頃のインフラ構想に学ぶ

約35年前、モトローラが提唱した「 イリジウム計画 」をご存じでしょうか。
77基の通信衛星によって地球全体をカバーしようという壮大な移動体通信構想でした。
最終的には実現に至らなかったものの、これも一種の「ユニバーサルサービス」を目指した試みだったと言えるでしょう。

また、1980年代には「 FTTH(Fiber To The Home) 」、つまり光ファイバーを家庭まで引き込む構想があり、2015年頃には実現すると言われていました。
結果的には、ラストワンマイルの課題が早期に解決され、インターネットはそれよりも早く広く普及しました。
これもまた、現代のユニバーサルサービスの一例です。

ちなみに、当時よく話題にのぼったのが、後にアメリカ副大統領となるアル・ゴアJr.が提唱した「 NII(National Information Infrastructure/情報スーパーハイウェイ) 」構想でした。
これは、現在のインターネットという形でほぼ実現されたと言ってよいでしょう。

さらに興味深いのは、彼の父親、アル・ゴア・シニア(元上院議員)も、かつてアメリカ国内に高速道路網を敷く「 インターステイト・ハイウェイ構想 」を提唱していたことです。
つまり親子二代にわたり、「ハイウェイ構想」を実現しようとしたのです。

父は物流の革命を、子はデジタルデータの革命を。
それぞれの時代における“インフラ構想”の象徴です。

じゃあ、今は何を目指すのか?

そして今、私たちが次に向かうべきは、
この流れをさらに先へと進めた「 AIのユニバーサルサービス化 」なのではないかと感じています。
まだ誰も明確に提唱はしていないかもしれませんが、いずれ世界がその方向に動くであろうという予感があります。

そのためには、多様なAIエージェントの発展、セキュリティの担保、普遍的なインフラ整備、そして世界共通のルールづくりなど、課題はしこたまあります。

しかし、それでも——

 世界中の誰もが、同じ品質のAIサービスを等しく享受できる未来 

理想論かもしれません。
それでも、そうした理想に挑戦する若者たちが、きっと現れてくれると信じています。

・・・それを寝ながら待っています。

あれ?いつもと雰囲気が違うくね?ですよね。
ここから”力業で”いつもの状態に持っていきますよ!

臥待月と、しこたま待つ心

寝ながら待つと言えば、旧暦の 8月19日の臥待月 (ふしまちづき)。
これは「現れるのが遅いので、寝て待ってるからねー」に由来しています。

 今宵はと 
 臥待月を 
 待ちぬれば 
 流るるときも 
 しこたまおかし 

これはとある詩人の詩(うた)ですが、「待っている時こそが至極だよね」と謳っているのです。
しかし、大きな変革を巻き起こすAIのユニバーサルサービス化を寝ながら待っていると、起きたときには浦島太郎になっているかもしれません。
夜中に目が醒めて縁側の雨戸を開け外をながむると、

 垂れ頭(たれこうべ
 月の通ひ路(かよひじ) 
 縁寺庭 
 たわわに実り 
 黄金(こがね)しこたま 

こんな感じで起きたときにはたわわに実っているのです。

少し寝て起きたら、もう世の中はしこたま変革を遂げている。
ChatGPTがリリースされてたった2年半で、しこたま様変わりした。

たしかに課題はしこたまありますが、それも寝ている間に解決され、良い意味で予想を裏切ることになっているかもしれません。

「朝、目が醒めたら先ずカーテンを開け、
 いつもの外の景色が横たわっているのかを確認してください」

と、映画のエンディングのナレーションもどきみたいですね。

というわけで、

長めの冒頭で述べた変革早よ!いつまで寝てればイイんだよ!

最後になりましたが、それを変革するリーダーは「 貴方 」ですからね!!!

貴方もエンジニア、私も縁寺(えんじ)庭(にわ)。
皆にしこたまを!星にしこたまを!Wish upon a star.
from 縁寺庭 to all of you!

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