履歴書とESの違いとは?共通項目と注意点も押さえよう

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企業によっては、履歴書とエントリーシート(以下、ES)を同時に提出する場合もあります。しかし、志望動機や自己PR、趣味・特技などの重複している項目があり、「どう書き分ければいいか分からない!」と悩む就活生もいるでしょう。

そこで今回は、「履歴書」と「ES」の違いと注意点、共通項目について見ていきたいと思います。

ESは自分を売り込む「企画書」

選考で重要視されるES。企業が独自に作成している場合がほとんどで、学生に聞きたいと思っている要素を的確に設問項目に落とし込んでいます。ESを書く際には設問の意図をしっかりと汲み取り、確実に答えていく必要があります。

また、ESは企業にあなたをアピールするという役割があり、あなたの考えや熱意、伝える力を示すものです。自分を売り込む手段ですので、あなたを採用することによって企業にどのような利益をもたらすかをイメージしてもらうことが重要です。独りよがりのアピールをするのではなく、「企業の求める人材」を意識しましょう。

履歴書はESの「補足資料」

履歴書はESの内容を補足するためのものです。就活生の背景を知るための資料なので、内容は学歴や保有資格などの基本情報が中心です。これまでの事実を端的に記していきましょう。
ESが未来やあなたの内面のことを示しているとすれば、履歴書は過去をさかのぼり、現在の状況を伝えるものとなります。

ESを書く際の注意点

  • 結論を初めに書く
  • 設問に対して的確に回答する
  • 具体性を持たせる

ESを書く上で、結論を初めに書くことは非常に大切です。

企業側は限られた人数で膨大な量のESに目を通すため、言いたいことが分からない文章は読んでもらえない可能性も…。最も伝えたいことを、相手が真っ先に理解することができる文章を心掛けましょう。

また、設問に対して的外れな内容を書いたり、具体性に欠ける文章を書いてしまう就活生が非常に目立ちます。回答が的外れということは、企業がどういう意図でその設問を用意しているかを理解していないということになります。それでは企業に見向きもされません。

設問に対する的確な内容を書く方法として、設問を分解して一つずつ箇条書きし、それらを繋げて一つの文章にする方法が挙げられます。悪い例と良い例を比較していきましょう。

設問分解の例

学生時代に、チャレンジしてみたものの、思うようにいかなかった経験を書いて下さい。 うまくいかなかった原因と、それに対しどう行動し、改善できたかもあわせて書いて下さい。

悪い例×

ピアノ講師のアルバイトをしていました。始めた頃は担当しているAさんに上達してほしいと考え、様々な工夫をしていました。しかし、数か月後、教室長から「Aさんは今月で辞めることになった。」と言われてしまいました。原因は、相手の性格やタイプを考えずに、自分の思うレッスンばかりをしていたところにあると考えました。そこで、相手のことをしっかり知るために、生徒や保護者と関わることに努め、レッスンの改善を目指しました。その結果、「ピアノのレッスンが楽しい」と喜んでいただけることが多くなり、担当する生徒がコンクールで入賞することができました。今では教室への入会希望者数も増え、受け持つ生徒も増えています。

悪い例は、全体的に具体性に欠けています。失敗の要因である「どのようなレッスンを行っていたのか」が非常に分かりづらいです。

また、最も企業が知りたいと思っている「どう行動したか」という問いにほとんど答えていません。この場合、「改善できた点」に注目してしまいがちですが、企業は「どのようなプロセスで解決まで導くのか」や「実行力」、「内面の変化」、「思考力」などをみています。

言葉選びで言うと、「様々な」や「いろいろな」という言葉は曖昧な表現のため、具体性が重要視されるESではなるべく使わないようにしましょう。

ESは具体的に書いた方が採用担当者にあなたをイメージしてもらいやすくなります。

良い例〇

まずは文章を分解して、リスト化していきます。

1.チャレンジしたこと
担当している小学2年生のAさんに上達してほしいと張り切り、少し難しい曲でもどんどん弾いて貰うようにした。

2.思うようにいかなかったこと
担当していた小学2年生のAさんが辞めてしまった。

3.その原因
相手の気持ちを汲み取りきれていなかったこと。上達してほしいという気持ちだけで独りよがりのレッスンを行っており、Aさんや保護者が求めていることを汲み取りきれていなかったことが原因。

4.どのように行動したか
相手のことを知るために、月1回は保護者に電話をかけ、レッスンの方針についてのヒアリングを行った。その際、保護者の要望だけを鵜呑みにするのではなく、自分の考えも伝えた。教室長とも話し合い、生徒ひとりひとりの性格やレベルに合ったレッスンを心掛けた。

5.どのように改善できたか
「ピアノのレッスンが楽しい」と喜んでい頂けるようになり、担当する生徒がコンクールで入賞した。今では教室への入会希望者も増え、受け持つ生徒も増えた。

上記のリストをまとめると…

ピアノ講師のアルバイトで大きな失敗をしました。働き始めてすぐの頃、小学
2年生のAさんの個別指導を担当していました。私は講師になりたてで、担当している生徒に上達してほしいと張り切り、少し難しい曲でもどんどん弾かせるようにしていました。しかし、数か月後、教室長から「Aさんは今月で辞めることになった。」と言われてしまいした。理由を聞くと、Aさんの保護者から教室長に「もう少し難易度を下げてほしい。」という要望があったが、私が把握出来ておらず、保護者を怒らせてしまったためとのことでした。私のせいで、Aさんや保護者に迷惑をかけることになり、強い責任を感じました。

この件を振り返り、自身の改善点を探ることにしました。そこで気が付いたのが「相手の気持ちを汲み取りきれていなかったこと」です。上達してほしいという気持ちだけで自分が考えた内容のレッスンを行っており、Aさんや保護者が求めていることを汲み取りきれていなかったことがこの件の原因であると考えました。

そこで、まず相手の求めていることを知るために、私の担当する生徒の保護者には最低でも月1回は電話をかけ、レッスンの方針について話すようにしました。その際、ただ保護者の要望を鵜呑みにするだけでは講師としての役割を果たせないと考え、自分の考えるレッスン内容も伝えるようにしました。さらに、教室長とも話し合い、生徒ひとりひとりの性格やレベルに合ったレッスンを行うように心掛けました。

その結果、「ピアノのレッスンが楽しい」と喜んでい頂けるようになり、更には担当する生徒がコンクールで入賞を果たしました。今では教室への入会希望者数も増え、受け持つ生徒も増えています。

結論(ここではどの場面で失敗したか)を初めに持ってきていることがポイントです。また全体的に具体性が増し、分解した一つ一つの問いにも答えています。提出者のことを知らない採用担当者にもイメージしやすい内容になっているのではないでしょうか。

最初に提示した3点を意識することに加え、文法や語彙のミスにも気を配って書いてみてください。

履歴書を書く際の注意点

  • 全て正式名称で記入する
  • 資格はすべて記入する必要はない
  • 年号は「西暦」か「和暦」で統一する
  • フォーマットは項目や欄の大きさに注目

履歴書は、略称ではなく全て正式名称で記入するようにしましょう。特に学歴や資格は省略しないようにしてください。

資格は保有しているものをすべて記入する必要はありません。履歴書を提出する企業とあまり関係のない資格をずらずらと羅列するのではなく、評価に繋がるものを選びます。稀に英検4級といった資格を記入している就活生もいますが、それは3級以上の語学力がないと判断されかねません。TOEIC600点未満の場合は書かない方が良いかもしれません。

次に年号ですが、「西暦」か「和暦」のどちらか一方で統一しましょう。これは履歴書を書く上でのマナーの一つです。

履歴書のフォーマットですが、指定がない限りは書きやすいものを選ぶと良いでしょう。あなたの魅力を伝えやすい項目で構成されているものや、多く伝えたい項目の欄が大きいものなどを選んでみてください。新卒の場合は職務経歴はありませんので、学歴・職歴の欄よりも自己PRなどの欄が大きいものをおすすめします。

共通項目の内容は同じでいいの?

履歴書とESには、志望動機や自己PR、趣味・特技など、いくつかの共通した項目が存在します。両方提出する場合は、その書き分けが難しいと感じる方も多いようです。

結論から言うと、共通項目は書き分けたほうが良いです。全く同じ内容ですと、「思考力が乏しい」という印象を与えてしまいます。また、情報が少なく、企業側はあなたをイメージしづらくなります。

一緒に働くイメージができない学生を面接に呼ぶことはほとんどありません。共通項目を書き分けておくとあなたを多面的に見せることができますし、面接で質問してもらえる可能性も上がります。

ただここで一つ注意点があります。それは、「一貫性を持たせること」です。ESで「行動力」や「活発性」をアピールしているにも拘わらず、履歴書の趣味が「読書」や「映画鑑賞」では一貫性がなく説得力に欠けます。

「行動力」をアピールすることに決めたら、それを裏付けるエピソードを整理してみましょう。
ESでは「書店アルバイトで店舗の売上を上げるために、地域の年齢層やニーズを独自に調査し、特設コーナーを設置した」、履歴書の趣味の欄には「お城巡りが趣味で、去年だけでも20ヶ所訪れた」というようにエピソードを散りばめます。

そうすることで説得力が増しますし、企業側もあなたについて深く知ることができます。
この場合、「なぜそれをやろうと思ったか」という根源の部分から書くことも忘れないようにしてください。

おわりに

いかがでしたか。履歴書とESは全くの”別物”ということを分かっていただけたかと思います。共通項目は、使いようによっては多面的にあなたをアピールできる場となります。履歴書とESをうまく使い分けて、書類選考通過を目指しましょう!

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