IT業界には様々な業界や職種が存在します。今回は、「データベースエンジニア」について見ていきましょう。
そもそもデータベースって何?
データベースという言葉は知っていても、なかなかピンとこない人もいるかと思います。まずは、Wikipediaでの定義を見てみましょう。
データベース(英:database, DB)とは、検索や蓄積が容易にできるよう整理された情報の集まり。 通常はコンピュータによって実現されたものを指すが、紙の住所録などをデータベースと呼ぶ場合もある。コンピュータを使用したデータベース・システムでは、データベース管理用のソフトウェアであるデータベース管理システムを使用する場合も多い。
これだけ読むと難しいように感じますが、データベースとはつまり、「ある特定の条件に当てはまるデータを集めて、後で使いやすいように整理した情報のかたまり」ということです。このデータベースは、「複数で共有、利用すること」と「検索、加工すること」を目的としています。
ITの分野以外に例えると「辞書」や「タウンページ」が挙げられます。辞書やタウンページは、家族や組織など「複数で共有」され「検索」されますよね。このようなデータの集まりを「データベース」と呼びます。
仕事内容
データベースエンジニアは、大量のデータを蓄積し、情報を高速に処理することができるデータベースの「設計・開発」、「管理・運用」を行います。それぞれどんなことをするのでしょうか。
設計・開発
顧客が「データベースを使ってどのようなデータを管理したいのか」を確認し、そのニーズに合わせて最適なデータベースを設計・開発します。OracleやMicrosoft SQL server等のデータベースシステムを利用し、利便性や安全性を考慮しながら顧客の求めるデータベースを作り上げて行きます。
管理・運用
データベースを動かすためには、データを適切に管理する必要があります。データを保存しているサーバーの最適化や効率化などのプランナーのような役割を担いつつ、データベースのアクセス権の管理やデータのバックアップなど、システムの運用も行います。また、稼働中のデータベースへの不正侵入やデータの流出を防ぐためのセキュリティ設計も行います。
こんな人におすすめ
細かい作業を綿密に行える
データベースに欠陥があると、結果的にあらゆるシステム破損を招いてしまいます。そのため、そういった不整合を起こさないように綿密なデータベース設計ができる正確さが求められます。
「縁の下の力持ち」に魅力を感じる
データベースは、表に出るようなシステムではありません。一般の人に直接感謝されることはほとんどありませんが、あらゆるアプリケーションソフトウェアやシステムの運営には欠かせない存在です。目に見える活躍は少なくても、多くの人に貢献できる仕事に魅力を感じる方には向いている職種です。
必要なスキル
データベースエンジニアに最も求められるスキルは、「広く普及している各種データベースシステムに精通していること」です。Oracle DatabaseやMicrosoft SQL server、PostgreSQL、MySQLなどの製品に関する知識と管理・運用の技能は、データベースエンジニアに欠かせないスキルです。
技術的なスキル以外にも、「コミュニケーション力」や「ビジネス全体を見渡せる能力」が重要になってきます。どのようなデータベースを構築するかについて顧客と打ち合わせをしたり、プロジェクト内や他部署の人間とも協力するためにはコミュニケーションが必要です。
また、どうすればデータを企業戦略に活かせるかということも考えなければなりません。そのためには、ビジネスの視点で全体を見る力も不可欠です。
データベースエンジニアのやりがい
データベースエンジニアは、世の中の情報システムを支える重要な職種です。また、専門性が高い職種のため、データベースを扱える人材は市場価値が高いこともあり「社会に貢献している」という実感にやりがいを感じる人も多いようです。専門性の高い業務は、幅広い知識と経験を得られるといった部分でもやりがいを感じることができるでしょう。
代表的な企業
データベースエンジニアが多く活躍している代表的な企業は、以下の通りです。
Winテクノロジ etc
データベースエンジニアの需要と将来性
データベースエンジニアの活躍の場は確実に増えています。顧客の個人情報をはじめ、給与データ、財務データ、商品の購入履歴、他にもあらゆるデータを取り扱う企業が数多く存在します。
また、スマートフォンの急速な普及を受け、ゲームやアプリケーションソフトウェアにデータベースの知識が必要になったことで、幅広い分野での需要が見込まれています。
データベースエンジニアの今後についてですが、採用枠に限定して見ると減少傾向にあります。需要が見込まれているのに、なぜ減少するのでしょうか。原因の一つとして、「エンジニアのマルチタスク化」が挙げられます。
これまでは、データベースのことはデータベースエンジニアが担当していました。しかし、他職種のエンジニアがデータベースに関わる仕事を兼任するようになったことで、採用枠が減少したと考えられています。
また、将来的にはあらゆる分野のエンジニアがデータベースを扱えるようになると予想されています。データベースとより深く関わりたいと考えている方は、インフラ系に関わるエンジニアなど、データベースエンジニアと領域が近い職種を視野に入れてキャリアを考えてみると良いかもしれません。
データベースエンジニアの詳細データ
気になるデータベースエンジニアの詳細なデータをまとめてみました。
平均年収
データベースエンジニアの平均年収は、500万円前後と言われています。平均年収.JPによると、平均月収は30~50万円、ボーナスは67万円となっています。企業規模や保有資格も大きく影響しています。
超過労働(残業)
データベースエンジニアの1ヶ月の平均残業時間は、33.7時間という結果が出ています。納期直前やデータベースに障害が起きた時などは、残業が集中する場合があります。
また、監視や運用・保守のポジションは24時間体制が基本です。働き方はシフト制であることが多く、夜勤に回ることもあるので注意してください。
主な開発言語と資格
データベースを操作する言語は、ほとんどが「SQL言語」に限られています。そのため、より高いレベルでSQLを使いこなせるようになることが求められます。また、データベースエンジニアにはあらゆる資格が存在していますので、以下に人気の資格を掲載しておきます。
- 情報処理技術者試験ーデータベーススペシャリスト試験
- 情報処理技術者試験ーネットワークスペシャリスト試験
- マイクロソフト認定試験
- ORACLE MASTER
- Oracle認定Javaプログラマ
- Linux技術者認定試験
- Cisco技術者認定