IT業界には様々な業界や職種が存在します。今回は、「モバイルプログラマ」について見ていきましょう。
仕事内容
モバイル端末(スマートフォンやタブレット)のアプリケーションソフトウェア(以下、アプリケーション)開発を行うのが、モバイルプログラマです。「携帯アプリ」、「スマホアプリ」と言ったほうが馴染み深いかもしれません。モバイルプログラマは、アプリ開発者と呼ばれることもあります。
メーカーやOSの違いによって多種多様に機種が乱立し、端末ごとに開発方法が異なるため、iPhone・Android・その他の端末に合わせた開発技術を習得する必要があります。
モバイル系のアプリケーション開発は新技術の採用が多く、常に最先端技術に触れることができるため、非常に人気のある職種です。また、一般ユーザーが気軽に利用することができるので、反響を感じやすいという側面もあります。
仕事例:プッシュ通知を配信する場合
①アカウント登録
ダウンロードしたアプリケーションにアカウント登録をすると、GCMやAPNSを代表とした「開発者がサーバーからアプリケーションにデータを送信できるようにするサービス」にデバイスデータが登録されます。そうすることで、GCMやAPNSは、デバイストークンを発行します。
デバイストークンとは、プッシュ通知先(端末)を識別するための電話番号のようなものです。
②開発者にデバイストークンを送信
発行されたデバイストークンを、デバイス(携帯端末)から開発者(自社サーバー)に送信します。そうすることで、開発者はプッシュ通知の配信要求をすることができます。
③プッシュ通知の配信要求
開発者は、送られてきたデバイストークン宛てにプッシュ通知を要求します。ここでは直接開発者からデバイス(携帯端末)に配信するのではなく、GCMやAPNSに「プッシュ通知を配信してください!」とお願いします。
④プッシュ通知がデバイス(携帯端末/ユーザー)に届く
要求を受けたGCMやAPNSは、デバイスにプッシュ通知を配信します。デバイスは受信したプッシュ通知を処理し、ここで初めてユーザーに通知が届きます。
※GCM…Androidのアプリケーションに通知を送信できるようにするサービス
(Google Cloud Messaging for Android )
※APNS…Appleのアプリケーションに通知を送信できるようにするサービス
(Apple Push Notification Service )
こんな人におすすめ
自分でアプリを作ってみたい
アプリケーションは、スマートフォンを持っている人なら必ず利用するほど身近で、一般のユーザーの目に触れやすいものです。多くの人の目に触れるアプリを作りたい、もっと画期的で便利なものを生み出したいという好奇心や向上心のある方に向いている職種です。
わくわくする新しい仕事がしたい
モバイル端末向けのアプリケーションは新しく、可能性が無限に広がっている分野です。自らアイディアを出したり、新しいアプリケーションを生み出すことのできるこの職種は、未来への希望や変革が詰まっており、わくわくせずにはいられないでしょう。そんな仕事に就きたいと考えている方にはおすすめの職種です。
必要なスキル
モバイルプログラマには、開発に必要な Swift や Java などの言語と共に、ネットワークやデータベース(DB)に関する広い知識が必要になります。AndroidやApple、その他のモバイル端末に対応できるよう、多種多様な言語の習得が求められます。
モバイルプログラマのやりがい
モバイルプログラマのやりがいは、「利用者が多いこと」と「ダイレクトに利用者の反応が見られること」です。
アプリケーションは、iPhoneならアップルストア、Androidならプレイストアで簡単にダウロードすることができ、スマートフォンを持っている人ならすぐに利用することができます。スマートフォンの普及により利用者が増加した今、人気アプリケーションとなれば多くの人の目に触れるでしょう。
また、アップルストアやプレイストアでは、アプリケーションをダウンロードした一般のユーザーが評価をつけたりコメントを書くことができます。それにより、ダイレクトにユーザーの反応を見ることができるため、自身のモチベーションに繋がります。
自分の作ったものに反応があるというのは、やりがいにも繋がりますし、役立つものを作れているという自信にもなります。当然良い評価だけではありませんが、それも次に活かすヒントとなるでしょう。
代表的な企業
モバイルプログラマが活躍する代表的な企業は、以下の通りです。
ガラパゴス、テックファーム、クロスコミュニケーションズ
モバイルプログラマの需要と将来性
近年、モバイル端末は急速にスマートフォンへ移行しており、アプリケーション開発は需要が高く、今後さらにビジネスとして発展していく事が予想されます。そのため、多くの企業がスマートフォンのアプリケーション開発を外部企業に依頼していたり、アプリケーション開発のできる人材を求めて大手企業などが人材確保のために活発に動いています。
スマートフォンは現在でも十分な高利用率ですが、さらに増加見込みがあるため、モバイルプログラマの需要も増加していきます。モバイル端末がデスクトップの検索数を抜いたことも考えると、将来性のある職種と言えます。
モバイルプログラマの詳細データ
気になるモバイルプログラマの詳細なデータをまとめてみました。
平均年収
モバイルプログラマの平均年収は450万円前後で、他のプログラマよりも高い水準となっています。需要の高さと技術次第で給与アップが見込めることが要因です。まだ新しい分野ということもあり、実際は個々人で年収の差が大きいのが現状です。月額給与も同様です。
平均月収売上高
こちらは全世界のアプリ開発者を対象にした集計結果ですが、およそ49万円となっています。埋もれてしまっている膨大な数のアプリケーションや、国や地域ごとの物価等の違いも関係するため一概には言えませんが、世界ではこのような基準となっています。
主な開発言語
モバイル端末向けアプリケーションを開発する際に使用する言語は、動作させるOSとデバイスによって異なります。
GoogleのモバイルOS「Android」向けアプリを開発するなら「C」、「C++」、「Java」を使用します。AppleのモバイルOS「iOS」向けの場合は、「Objective-C」や「Swift」を使うことになります。
他にも、「HTML5」や「Kotlin」などがよく使用されるので、チェックしておくと良いでしょう。