IT業界には様々な業界や職種が存在します。今回は、「ゲームプログラマ」について見ていきましょう。
仕事内容
ゲームプログラマは、企画書や仕様書に基づいてプログラミングを行い、ゲームを制作する職種です。
ゲーム制作の初期段階では、企画やシナリオを考えるディレクターやプランナー、背景やキャラクターデザインを描くゲームデザイナーなどが活躍しており、そういった職種の人たちと連携しながら仕事をします。
ゲームプログラマはゲームが意図したとおりに動作するよう、キャラクターの動き、サウンドの設定、ゲーム全体の流れなど、ゲーム内部のシステムを開発します。その後、チェックや不具合の修正などを経て納品に至ります。
企画やデザインが素晴らしいものだとしても、プログラムを組む段階(開発)で大きなバグを埋め込んでしまうと、ゲームのや売り上げや信用にかかわります。そのため、ゲーム制作の中で最も重要なポジションと言えるでしょう。
ゲーム業界の3つの分野
ゲーム業界には、主に3つの分野が存在します。それぞれ見ていきましょう。
テレビゲーム開発
PS4やNintendo Switchが代表的なテレビゲーム。手軽に楽しめるスマホゲームの普及により、現在苦戦中の分野です。開発費が膨らむ傾向にありますが、ヒットすれば人気は長期間続きます。また根強いファンが多いのも特徴です。
スマートフォン向けゲーム開発
現在最も勢いがあり、ゲームプログラマの需要が非常に大きい分野です。ちなみに、スマホゲーム制作会社は業界内で「SAP(サップ)」と呼ばれています。
手軽に楽しむことができるためユーザーは増加していますが、人気の移り変わりが激しいという側面もあります。コンスタントに新しいものを世に送り出さなければならず、スピード感が求められる分野です。
インターネット上で楽しむゲーム開発
Webゲームやオンラインゲームと呼ばれる分野のことを指します。しかし、日本ではあまり開発が進んでおらず、インターネット大国と言われる国々から輸入することもあります。そのため募集人数が少なく、未経験の就職は難しいでしょう。
こんな人におすすめ
とにかくゲーム好き
人気ゲームを制作するためには、制作する人間がゲーム好きであることが第一条件となります。”とりあえず仕事として作る”という感覚では、娯楽として面白いものは作れません。ゲーム好きな人であれば、間違いなく向いている職種です。
ものづくりがしてみたい
ゲーム好きということに加えて、ものづくりが好きな人にはおすすめです。ゲームが好きでこの業界に飛び込んだ人でも、制作に楽しさを感じることができない場合は結果的に辞めてしまうからです。自身が制作に関わったゲームが正常に動作し、ユーザーの手に渡ることに喜びを感じる人は、ヒット作品を作り出せるプログラマになれるかもしれません。
エンターテイメントを提供したい
ゲームプログラマは、多くの人にエンターテイメントを届ける仕事でもあります。現在では、テレビゲームの他にスマホゲームやVRなど種類が豊富です。子供から大人まで幅広い世代に愛されるものを作るこの仕事は、エンターテイメントを届けたいと感じてる人におすすめです。
必要なスキル
技術的なスキルとしては、基本的な C、C++、JavaScript などの習得が求められます。最近であれば C# が人気ですし、最新のゲーム開発に用いられる言語なども押さえておくとアピール材料になります。
ゲーム会社によって得意な開発言語・ゲームの種類があるため、基本に加えて今トレンドとされる言語、自分が志望する企業のゲームに多く使われている言語を身につけると良いでしょう。
ITスキル以外では、「論理的思考回路(ロジカルシンキング)スキル」や「情報収集スキル」が求められます。
プログラムを組むには、物事を順序立てて考え、それをしっかり構築していくことが重要になります。そのためには、ロジカルに考えることのできる人材は重宝されます。
情報収集スキルは、人気のアニメや漫画を題材にしたゲームが多いために必要です。流行りのものを前提に話が進められることも多々あり、元ネタがわからなければ話についていけません。食い違いを起こさないためにも、最新の知識や流行りを確認しておきましょう。
ゲームプログラマのやりがい
ゲームプログラマのやりがいは、何といっても「ゲームが完成した時の達成感」と「ユーザーの反応」でしょう。
多くの人と関わりながら、変更の対応やバグの修正などいくつもの困難を乗り越えます。納期前は忙しさが増しますが、それを経てゲームの完成や発売日を迎えた瞬間は大きな達成感を味わうことがでます。店舗で自信が開発に関わったゲームを嬉しそうに購入していく人と遭遇したときは、より一層やりがいを感じることができるでしょう。
また、今は口コミなどでユーザーの反応が分かる時代です。ダイレクトに評価を耳にすることができるため、自身のモチベーションアップに繋がります。
代表的な企業
ゲームプログラマが多く活躍している代表的な企業は、以下の通りです。
スクウェア・エニックス、セガサミーHD、ガンホー・オンライン・エンターテイメント、DeNA
カプコン、セガゲームス
ゲームプログラマの需要と将来性
近年、”ゲーム業界は衰退する”と言われていますが、スマートフォン向けゲームの普及により、高い需要を保っています。
ゲームプログラマは業界の中でも非常に人気が高く、高倍率の狭き門です。PS4やWii、Switchなどのゲームを開発するような大手企業は、経験のあるベテランエンジニアや技術を持ったプログラマを求める傾向にあります。また、インターネットと結びつくことによって、世界中のプレイヤーが同じゲームの世界に入ることのできる「オンラインゲーム」の誕生以来、データベース・通信などのサーバーサイドの技術者が必要となり、他業界から転職する人も増えています。
技術面は、VRやARの登場で急速に進化しています。新しい開発言語も続々と考案され、より安全で高速な、メンテナンスのしやすいものに移行しつつあります。
ゲームプログラマは、ゲームファンがいる限り残り続ける職種であることは確かです。特に高度な技術や斬新なアイディアを持った人材は、今後さらに需要が高まっていくでしょう。
ゲームプログラマの詳細データ
気になるゲームプログラマの詳細なデータをまとめてみました。
平均年収
引用 平均年収.jp ゲームプログラマの年齢別年収予想推移と給与ボーナス予想推移
ゲームプログラマの平均年収は460万円と言われています。同じゲームプログラマでも、会社規模や担当するゲームの分野で年収は変動するため、平均年収の範囲は400~500万円と予想されています。
また、上図はゲームプログラマの年齢別年収予想推移と給与ボーナス推移予想になっていますので、参考にしてみてください。
男女比
ゲームプログラマの男女比は9:1です。業界の中でも女性比率が少なく、職場によってはほぼゼロという場合もあります。キャラクターデザインなどを担当するゲームデザイナーは、女性比率が4割ほどに増加するようです。男性ばかりというイメージが強い業界ですが、これからは女性向けゲームの需要も高まるため、女性の活躍の場が増えると予想されます。
超過労働(残業)
一昔前のように月200時間というような過酷な残業は、労働基準法などの影響で見直されはじめています。納期前のような忙しさが年中続くわけではなく、チームとして動くため、他工程からの指示待ちの期間などもあります。ゲームプログラマは、そういった期間に休暇を取ったりのんびり仕事をする人が多いようです。それでも、忙しい時期は必ず存在すると思っておいてください。
平均年齢
平成29年に公表されている主なゲーム会社の平均年齢は以下の通りです。ゲームプログラマだけではなく、ゲーム会社に勤める全体の平均値なので注意してください。
主な開発言語
ゲームプログラマが主に扱う言語には、必ず押さえておくべき「C」、Cをより高度に使えるように拡張された「C++」、ゲーム制作で人気が高まっている「C#」、様々な環境で広く使われる「JavaScript」、Apple製品のアプリ開発に用いられる「Swift」、ソーシャルゲームに使われることの多い「Ruby」などが挙げられます。
ゲームソフトによって使用される言語が異なる場合があるので、自身が制作したいゲームや志望企業に合わせたものから習得すると良いでしょう。
また、ゲーム開発プラットフォームである「Unity」は、利用シェアが広いため、対応できるようにしておくと業務の幅が広がります。