IT業界には様々な業界や職種が存在します。今回は、「プログラマ(以下、PG)」について見ていきましょう。
仕事内容
PGは、仕様書を元に業務上必要となるプログラムを作成して、システムやソフトウェアを作る仕事です。
スマートフォンやデジタルカメラ、冷蔵庫や炊飯器といった家電製品など、デジタル機器(ハードウェア)と呼ばれる電気で動くものは、プログラムで制御されています。コンピュータやWord・Excelなどのアプリケーションソフトウェアも同様です。
見えないところでは、銀行のシステム、発電システム、天気予報の予測に使われる大掛かりなシステムなどにもPGが関わっています。また、在庫管理システムや財務管理システムなど、企業の業務やサービスの中核となる重要なシステムの開発も行っています。
システムを開発する際は必ずプロジェクトを発足し、上図の工程で作られます。各工程の担当は異なり、一つのシステムを作り上げるために大勢の人が関わっています。この中でPGが担当する工程は、「開発」、「テスト」、「総合テスト」、「運用保守」です。
一般的に、システムエンジニア(以下、SE)などの上流工程を担当する人たちがシステム設計を行い、その内容をまとめた「仕様書」に基づいてPGが「プログラミング(開発)」を行います。その後の「テスト」工程にも携わり、バグが発見されれば修正を行います。顧客の元へシステムが導入されると、その後のシステムをサポートする「運用保守」にも携わることがあります。
注意点として、新卒採用や未経験の場合は、いきなりSEになるということはほぼありません。初めは、PGとして経験を積むところからスタートします。
こんな人におすすめ
黙々と作業をするのが好き
PGはチームで動きますが、プログラミングを行うときは基本的に一人です。コンピュータと向かい合う時間が長い職種なので、黙々と集中して作業を行える人に向いています。
新しいことを考えたり挑戦するのが好き
目の前の開発に集中することも大切ですが、常に新しいことを考えられる人にもおすすめの職種です。「システムをより効率的に開発するにはどうしたらいいか」、「もっと便利にするには何が必要か」、「まずはやってみよう」という気持ちが大切です。
必要なスキル
入社前のプログラミング経験はほとんど問題ではなく、入社後の研修で無理なく習得可能です。
資格としては「ITパスポート」「基本情報技術者」「応用情報技術者」といった国家資格のほか、ソフトウェアメーカーが行うアプリケーションやOS等に関する認定試験がある。技術者としての裏付けとなるため、資格取得も重要です。
チームでの仕事がほとんどであるため、「協調性」や「コミュニケーション能力」といった、技術面以外のスキルも重要です。また、システム開発にはトラブルがつきものであるため、その中で問題を解決して乗り越えられる力が重要視されます。
PGのやりがい
PGの仕事のやりがいは、「最先端で社会貢献度の高いものを作る喜び」や「システムが動いたときの達成感」です。
ITはあらゆる分野で取り入れられており、PGは最前線でシステムを開発します。最新技術に触れることに楽しさを感じることもあれば、人の役に立つシステムを開発することで世の中に貢献することに喜びを感じることもあります。
また、システム開発の現場では、何度も起こるエラーに試行錯誤を重ねます。上手くいかないことの繰り返しを経てシステムが作動した時、何とも言えない達成感を得ることができます。
PGは、ITの技術やものづくりを究めていく、やりがいにあふれた仕事です。
PGの需要と将来性
PGは、IT業界の中でも常に安定した需要を保っており、人手不足から貴重な人材として注目されています。また、将来的にもPGという職種は存在し続けるでしょう。
近い将来、AI(人工知能)によって様々な職種がなくなるという話を耳にすることもあるかと思います。しかし、システム開発においてはおそらくAIが簡単なコードを組むだけで、設計や複雑なコードは人間が書き続けることになります。裏を返せば、よりクリエイティブで高度な作業に集中できるようになり、ますます便利で使いやすいシステムを世に出せるということになります。
キャリアの面から見ると、PGとしてキャリアを築くこともできればSEやプロジェクトマネージャー(PM)、スペシャリストやコンサルタントなど、様々な職種を目指すこともできます。
今後さらに人手不足が深刻化するIT業界は、希望の職種にチャレンジしやすい業界と言えるでしょう。
PGの詳細データ
気になるPGの詳細データをまとめてみました。
※データは厚生労働省の「平成28年 賃金構造基本統計調査」を参考にしています。
残業時間
PGの残業時間はプロジェクトによって様々です。定時できっちり帰ることのできる現場もあれば、毎日残業という場合もあります。
PGの仕事には納期が付きものであるため、納期直前には残業が多く発生することもあるでしょう。これは、どんな仕事でも共通して言えることではないでしょうか。
急な不具合にも対応しなければならないので、残業時間が比較的多い職種であることは否めません。
平均年収
PGの平均年収は415万円で、日本の平均年収とさほど変わらない結果となりました。ちなみに、平均月収は29.9万円です。
以下は、男女別/年齢別の年収予想推移となっています。
女性の年収が停滞・減少しているのは、結婚・出産などで産休・育休・時短勤務などで一時的に収入が減ることが影響しています。
男女比
PGの男女比は8:2です。職種や職場によっては女性の比率が高い場合もあるため、就職先を決める際は確認しておきましょう。
PGの種類
PGには分野ごとに様々な職種があります。職種によって開発するシステムは異なりますし、使用するプログラミング言語や求められる知識・スキルも異なります。代表的なPGを見ていきましょう。
アプリケーションプログラマ(業務系)
一般的に「業務系プログラマ」と言われる職種です。システムに含まれるアプリケーションソフトウェアを開発するPGのことを指し、主にWord・Excelなどのアプリケーションソフトウェアや、企業の業務に関するシステムを開発しています。また、アプリケーションソフトウェアにはいくつかの種類があり、「業務系アプリ」の他に「Webアプリ」や「スマホアプリ」があります。
Webプログラマ
Webサイトに特化したPGです。企業のWebサイトやネットショッピングで知られるECサイト、多くの人が利用しているSNSなどの開発も行います。
モバイルプログラマ
スマホアプリと呼ばれる、スマートフォンやタブレットのアプリケーションソフトウェアを開発するPGです。ダウンロードするだけで簡単に利用することのできるスマホアプリは、私たちの生活に欠かせない存在となっています。
ゲームプログラマ
その名の通りゲームを制作するPGです。キャラクターの動き、サウンド、背景などのシステムを開発します。
コントロールプログラマ(組込系)
いわゆる「組込系プログラマ」と呼ばれる職種であり、主に家電製品などの機器(ハードウェア)の中に組み込むためのプログラムを開発します。日常的に使われる製品を扱っているため、品質や安全性を特に意識しなければならない職種です。